シックハウス症候群、化学物質過敏症について

2024年03月19日

数年前からシックハウス症候群、化学物質過敏症のかたが増え始め、再び論議されるようになりました。

90年代前後から徐々に認知度が高まり、社会問題と化したことにより、厚生労働省が室内空気の化学物質濃度に指針値を設けたり、国土交通省がシックハウス対策として建築基準法を一部改正したほどの病気です。

住宅が工業生産化されたことも一つの要因かと思われます。

高気密、高断熱化された空間に化学物質だらけの材料を使用することにより、住み手の健康を害する結果となりました。

住まいをデザインすることは、機能的・美的に心地よい空間を作ることですが、また直接目に見える以上の責任も負っています。環境と人の健康に責任を持つものでなければなりません。

特に、子どもの体の機能、中枢神経、免疫、消化器などは大人と比べて傷つきやすいので、室内環境の一層の注意が必要です。一人でも多くの方が、この大切さに気づいていただければうれしく思います。


 [シックハウス症候群とは?]

新築した家に住み始めてから、目がチカチカして痛くなり、ひどくなると頭痛、耳鳴り、ぜんそく、アトピー性皮膚炎の悪化などさまざまな症状が出ることがあります。

このような症状がシックハウス症候群とよばれています。

生活しはじめて1~2年、もしくは何年も生活してはじめて症状が出る人もいますので、いままで原因不明とされてきました。

私たちは一日のうちおよそ80%を屋内で過ごしています。くつろぎの場であるはずの場所が、有害化学物質で汚染されているとしたらどうでしょうか。

早くからこの問題の研究を重ねてきた、元北里大学教授の石川氏はこのように言われています。「人間の体はコップと同じです。 蛇口から注がれる水をコップが受けとめるのと同じように、有害な化学物質は体内に蓄積されある一定量までは許容されます。 しかしその人の適応能力を超えるとコップの水があふれだすようにさまざまな症状が出てしまうのです。」


[シックハウス症候群の原因]

昔のように隙間風が通り抜ける家屋は少なくなり、住宅の高気密・高断熱化が増えました。 そのことにより、室内空気の還流が少なくなりました。

そして、施工が簡単で素早く仕上がり低コストの新建材などが多用されるため、その中に含まれる有害化学物質が影響を及ぼしてきました。
仕上げ材や合板など内装のほとんどが化学建材です。

それから、防ダニ剤や床下のシロアリ駆除剤などは強い農薬で、有機リン系の化学物質が使われています。

次には、十分に換気されず締め切った部屋が増えてきたことも原因かと思われます。 これらに対して原因究明に取り組んでいるものの、症状の個人差があることや化学物質の多さなどがあり、まだ十分に解明されておりません。

人体には、環境ホルモンを含め数百種類の化学物質が蓄積されているということです。
環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)により一番影響を受ける時期が、胎児期と乳児期です。


[化学物質過敏症とは?]

倦怠感、頭痛、皮膚炎、目がチカチカするなど様々な症状で人々を苦しめる化学物質過敏症。

化学物質過敏症とは、化学物質や花粉、精神的ストレスなどがその人の許容量を超えると発症し、一度発症すると僅かな化学物質でも反応してしまうと言われています。

どのような物質に反応するかは人それぞれですが、住宅の構造や家具に使用される接着剤、塗料、

さらに、日用品や洗剤に含まれる香料なども原因となります。


人と環境にやさしい自然素材の家に暮らしてから、シックハウス、化学物質過敏症、アレルギーなどの症状が改善したという事例は、数多く報告されています。

2019年11月24日、内分泌かく乱化学物質研究の第一人者であるニューヨーク大学医学部のレオナルド・トラサンデ教授が、「有害化学物質から子どもを守る国際市民セミナー」(ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議主催)のため来日し講演しました。ご興味がありましたら、講演資料をご覧ください。